今回は「ビジネスモデル」と「ビジネスプロセス」について考えてみたいと思います。
1.
ビジネスモデルとは何だろう?
ビジネスモデルとは、一言で表現することは難しいのですが、企業・団体が社会に価値を提供しその対価として収入を獲得し存続し続けるための企業・団体のビジネスのやり方・・・と言えます。
しかし、これでは簡単すぎるのでビジネスモデルの全体を俯瞰するために活用されている「ビジネスモデルキャンバス」というビジネスモデルを分析・デザインするフレームワークを使って深掘りをしてみたいと思います。
2.
ビジネスモデルキャンバスとは
ビジネスモデルキャンバスとは、企業・団体の業務活動(ビジネスモデル)を9つの象限に
分解して、企業がマーケットへ提供する製品・サービスを中心に置き、右側にマーケットの要素と収益を、左側に自企業の構成とコストを配して企業活動の在り方(ビジネスモデル)を分析あるいは計画するためのフレームワークです。
(1)
提案する価値(VP:Value Propositions)
企業としての存在意義を問われる項目です。顧客・マーケットへどのような価値(製品・サービス)を提供して行くのか? 企業として社会的要請にどのように貢献して行くのかを明確にします。
(2) 企業活動とコスト
-1-
主要活動(KA:Key Activities)
当サイトのメインテーマの一つであるビジネスプロセスが中心となる項目です。顧客・マーケットにどのように「価値」を届けるかを明らかにします。
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主要リソース(KR:Key Resources)
所謂「人・もの・金・情報」に相当します。主要活動を実行するにあたって必要となるリソースを明らかにします。
-3-
主要パートナー(KP:Key Partners)
自社のバリューチェーンを支える製品・サービスを提供してくれる取引先で、重要な
ステークホルダーになります。
-4-
コスト構造(CS:Cost Structure)
財務の観点から自社のバリューチェーンを維持するために必要なコストやキャッシュフローを明らかにします。
(3) マーケットと収益
-1-
顧客セグメント(CS:Customer Segments)
マーケットにおける自社の製品・サービス等の「価値」の提供先をセグメント(区分・明確化)します。提供する「価値」の明確化も必要です。
-2-
顧客との関係(CR:Customer Relationships)
一見取引、長期取引、人的関係性、IT化されたサービス提供、サプライチェーンにおけるようなコミュニティ化や協創、囲い込みなどが挙げられます。
-3-
販売チャネル(CH:Channels)
広告宣伝など「認知チャネル」や、ネットや店舗などの「販売チャネル」、その他「流通チャネル」などが挙げられます。
-4-
収益の流れ(RS:Revenue Streams)
まず、顧客から得られる「売上(Sales Revenue)」に始まり、投資に対する配当リターンなどを含めた総収入の構造を明らかにします。
1. Amazonのビジネスモデルキャンバス
(1)
興味深いAmazonを分析したビジネスモデルキャンバスがありました。
Amzonの詳しい分析が為されていますので、ご一読をお勧めします。
出典:BizMake(https://media.bizmake.jp/example/bm-amazon/)
(1) Amzon AWSの誕生裏話
裏話とは言っても有名な話しなのですが、AWS誕生の経緯をご紹介します。
出典:Publickey(https://www.publickey1.jp/blog/21/awsamazonsunhplinux.html)
-1- Amazonは2000年頃に、それまで使用していた高価だが信頼性の高いSunのサーバーからLinuxのサーバーへの全面移行すると言うハイリスクなプロジェクトを成功させ、ITコストの80%という大幅なインフラコストの圧縮に成功します。
そのことは、安価なLinuxサーバーを使えば、データセンターの拡張コストが非常に
安価で済むことも意味しました。
-2-
小売業であったAmazonのサーバー利用は11~12月のクリスマス時期に集中しており
Jeff Bezos CEOはそこに着眼しました。
(以下、Publickeyより引用)
「すると、さらに興味深いことが起こる。小売業として私たちは、毎年11月と12月にはトラフィックと売り上げが跳ね上がるという、季節ごとの変動にさらされている。そこでJeffは考え始めた……私たちには年間46週分の余ったサーバ能力がある。これを他社に貸し出したらどうだろう?」
-3-
このアイデアが実現してAmazon AWSが産声を上げたのが2006年でした。
その後のAWSの発展は皆さんのよくご存じなところですが、筆者が着目するのは、
勿論ITテクノロジーの高さと同時に、この前代未聞のビジネスモデルをビジネスとして成立させる「ビジネスプロセス」の構築能力です。
Jeff Bezos CEOの卓越した先見性によるビジネスモデルもそれを実現させるビジネスプロセスの構築能力がなかったならばただの「絵に描いた餅」で終わってしまいます。
(2) Appleでは、現CEOのTim CookがAppleのビジネスプロセスの再構築を成功させ、
Steven Jobsが「Apple社の成功は自分ではなくクックによるものだ。」と語っているのも有名な逸話です。
Amazonにしろ、Appleにしろ、Googleにしろ、ビジネスモデルとICTのレベルの高さばかりが世の中で語られることがおおいのですが、筆者が申し上げたいのは「ビジネスプロセス」の構築能力が無ければ成功は覚束なかったということです。
図の出典:CLOVER Light https://clover.lt-s.jp/?p=2264